2018年度の主な受賞研究一覧

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グランドアワード[文部科学省大臣賞/科学技術政策担当大臣賞/科学技術振興機構賞]

グランドアワード[文部科学省大臣賞] 静岡県立掛川西高等学校 岡本優真、塚本颯

文部科学大臣賞 賞状、盾、研究奨励金

岡本優真、塚本颯
(静岡県立掛川西高等学校)

空中環境DNAを使った鳥類調査法の
確立をめざして

動物科学

鳥類が空気中に残すDNAを検出できれば、観察しなくてもその鳥が生息している証拠となります。まずはフクロウを対象に、空気中の環境DNA(空中DNA)の検出を目指しました。最初に、フクロウに由来する微粒子を採取するため、オリジナル装置を制作しました。次にプライマーを設計しました。これを使って、PCR法でフクロウのDNAだけを検出できるようになりました。最後に、野外での微粒子採取を行いました。フクロウの生息が確認されている地点など6カ所で調査しました。このうち2カ所で採取した試料から、フクロウの空中DNAが検出されました。その後、ムクドリやアオバズクでも同様に成功しました。

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グランドアワード[科学技術政策担当大臣賞] 長崎県立長崎西高等学校 玉田結唯、宮崎文那、日南瑶

科学技術政策担当大臣賞 賞状、盾、研究奨励金

玉田結唯、宮崎文那、日南瑶
(長崎県立長崎西高等学校)

謎に満ちた地表徘徊性ハシリカスミカメムシ類の
生態(とくに発音と闘争)を解明
そして飼育技術を開発したサクセスストーリー

動物科学

3mm程のカメムシ、ハシリカスミカメ類は、発音器らしいものを持つことが知られていましたが、誰もその声を聞いたことはありませんでした。なぜなら、めったに採集されず飼育されたこともなかったからです。私たちは、この虫を捕る方法を習得し、飼育方法をあみだした末に、その声を録音することに成功しました。人の耳には聞こえないその音を、特殊なセンサーを応用した録音装置を開発し、オスとメスが呼び合うときの声が種によって違うことをつきとめました。また、オス同士のけんかや他の虫の死体を食べること、変わった産卵場所など、多くの謎を解き明かしました。そして、開発したエサは、生物農薬の飼育に応用できることもわかりました。

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グランドアワード[科学技術振興機構賞] 茗溪学園高等学校 森みのり

科学技術振興機構賞 賞状、盾、研究奨励金

森みのり
(茗溪学園高等学校)

四つ葉のクローバーを発生させる条件とは

植物科学

四つ葉が発生しやすい条件を明らかにすることを目的に、2つの面から研究しました。1つは繊管束と葉の枚数の関係について、三つ葉と四つ葉の繊管束数の比較と、繊管束のつながりの観察をしました。そして、四つ葉のほうが繊管束数が多くなる傾向があり、繊管束は、葉が出る直前部分で一度横につながることが分かりました。2つ目は、土の養分と葉の枚数の関係についてで、3つの肥料を与え、多葉クローバーの発生率を比較しました。そして、リンを与えると、多葉発生率が高いとわかりました。リンは、細胞分裂や、繊管束形成に働くオーキシン伝達にも関わります。この2つの研究より、リンが繊管束形成を促し多葉クローバーが発生しやすくなるという仮説を立てました。

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特別協賛社賞[花王賞]

特別協賛社賞[花王賞] 福岡県立明善高等学校 庄山隼斗・林田ももこ・山本真太朗

花王賞 賞状、研究奨励金

庄山隼斗・林田ももこ・山本真太朗
(福岡県立明善高等学校)

馬鈴薯澱粉の酸加水分解に伴うヨウ素呈色の
不思議な色変化の発見

生化学

澱粉溶液にヨウ素液を加えるとヨウ素澱粉反応が起こり青紫になります。また、澱粉溶液に希硫酸を加え、一定時間加水分解してからヨウ素液を加えると、加水分解の程度に応じて、赤紫から赤褐色を経て無色になると教科書等には記載されています。しかし、馬鈴薯澱粉を用いた私たちの実験では、加水分解初期に、青色の濃淡が周期的に繰り返す不思議な現象が観察されました。トウモロコシ澱粉や米澱粉では見られなかったこの現象の原因究明をめざして研究を行いました。その結果、青色濃淡現象のうち淡色から濃色への再呈色は、リン酸を多く含む馬鈴薯澱粉中のアミロペクチンが酸加水分解に対し抵抗性をもち、アミロペクチン2分解で遅れて生じた比較的鎖長の長い糖鎖に起因するものと推察されました。

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協賛社賞[JFEスチール賞]

主催者賞[朝日新聞社賞]

主催者賞[朝日新聞社賞] 米子工業高等専門学校 田中泰斗

朝日新聞社賞 賞状、研究奨励金

田中泰斗
(米子工業高等専門学校)

シックハウス症候群解消を目指した
卵殻の機能導入型建材の開発

材料科学

シックハウス症候群は、室内の空気汚染によって引き起こされる症状で、その原因物質として言われているのがホルムアルデヒドです。過去の知見から、卵殻は天然の優れた吸着材料になることが知られており、卵殻を石膏に添加すると、室内の有害成分の吸着が可能な建築材料が開発できると予想しました。
そこで、卵殻の割合を変えた試料板を作製して、建築材料としての実用性を調べるために耐火性試験、曲げ強度試験を行い、卵殻を混ぜる割合が10%以下なら強度を維持できることが分かりました。次に、ホルムアルデヒド吸着試験を行ったところ、吸着が促進すること、卵殻の割合が5%以上の試料板で、建築基準法が定める0.08 ppm以下に低減できることが分かりました。最後に、卵殻の吸着機能を視覚的に捉えるため線香の煙を使った実験を行い、純粋な石膏に比べ、卵殻を添加した試料板が線香の煙を除去できることも分かりました。

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協力社賞[荏原製作所賞/竹中工務店賞]

協力社賞[荏原製作所賞] 岐阜県立岐阜高等学校 常川光樹、広瀬雅恵、政井菜々美

荏原製作所賞 賞状、研究奨励金10万円

常川光樹、広瀬雅恵、政井菜々美
(岐阜県立岐阜高等学校)

環境DNA定量解析を用いた
生物分布モニタリングの確立
~長良川・揖斐川におけるアユと冷水病菌の季節的相互関係を探る~

地球・環境科学

高い水産資源的価値を持つアユと、アユに大きな影響を与えるとされるアユ冷水病や長良川河口堰について研究を行いました。河川水中に存在する環境DNAをリアルタイムPCRで定量解析することで、大規模河川においても短期間で効率的にアユと冷水病菌の分布や生物量を把握できました。また、両者の分布や生物量から、アユと冷水病菌の相互関係や長良川河口堰がアユの回遊に及ぼす影響について考察を行いました。
今回の解析から、両者の相互関係は従来考えられていたものよりも複雑であると考えられます。加えて、河口堰がアユの遡上を阻害している可能性も示唆されました。

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協力社賞[竹中工務店賞] 立命館高等学校 萩原孝紀

竹中工務店賞 賞状、研究奨励金10万円

萩原孝紀
(立命館高等学校)

新機構「ギロアクチュエータ」の開発

機械工学

ギロアクチュエータという新しいアクチュエータを開発しました。構造として、コイルの長さが30cmほどの円柱型の超電導コイルに、一部だけ磁石にくっつく金属がついた心棒を入れたものです。コイルに流す電流の範囲の位置を変更することによって、心棒についている金属が引き寄せられることを利用して、心棒を制御しています。超電導コイルを用いることにより、銅製のコイルと比べて、強力かつ省エネルギーで可動させることができました。
このことにより、エネルギー源が限られている自立型ロボットに採用する場合では、連続稼働時間が増えることが考えられるほか、重機や産業ロボットなどの比較的消費電力の大きい機械に採用した場合、使用エネルギー量を抑えることができるとも考えています。

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特別奨励賞[テレビ朝日特別奨励賞/花王特別奨励賞]

特別奨励賞[テレビ朝日特別奨励賞] 静岡県立磐田南高等学校 山下直也・松山隼・平野慎

テレビ朝日特別奨励賞 賞状、副賞

山下直也・松山隼・平野慎
(静岡県立磐田南高等学校)

2017年12月11日茨城県沖で発生した
ジェットの特徴と成因

地球・環境科学

カメラで撮影された動画からジェットを検出し、次に他地点で同時に観測された同一ジェットの方位角と仰角より三角測量の原理を用いて発生地点や高度を特定しました。さらに発生地点の気象条件や雷、ほかの高高度発光現象の発生数や発生位置から成因を考察しました。この結果、ジェットの発生地点は茨城県沖の北緯35°、東経139°で最高度は66kmであること、発光形態はその特徴から3つに分かれて連鎖的に発光していたこと、発生地点には寒冷前線が接近していたが、発光時間帯前後には落雷や降水はほとんど無かったことを明らかにしました。
 以上から、今回のジェットの成因は、寒冷前線に向かって寒気が吹き込み、急速に積乱雲が発達したが、落雷や降水による電荷の解消が起こらなかったために対流圏~中間圏に電荷が蓄積し、この大量に蓄積した電荷を解消するために鉛直方向に放電が発生してこれがジェットになったことが分かりました。

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特別奨励賞[花王特別奨励賞] 北海道旭川東高等学校 小川詩織・池川日央里・三宅渉太

花王特別奨励賞 賞状、副賞

小川詩織・池川日央里・三宅渉太
(北海道旭川東高等学校)

鉄-硝酸の化学振動
~電気刺激を与えず振動反応を再現する新しい方法の研究~

化学

鉄-硝酸の化学振動は、硝酸中で鉄の瞬間的な反応が周期的に繰り返される現象です。これは、鉄が溶解する活性状態と、酸化皮膜に覆われ反応しなくなる不活性状態(不動態)を繰り返すことで生じます。私たちは、この振動反応を確実に再現する新しい方法を研究しました。
 鉄板を浸した濃硝酸に水を少量加え撹拌すると、振動反応の再現率が向上しました。撹拌を速くすると、酸化皮膜の溶解が速くなり、振動の周期が短くなりました。また、水の代わりに塩化ナトリウム水溶液を加えると、振動反応の再現率が飛躍的に向上しました。鉄が濃硝酸と空気に触れる三境界面は、振動反応を起こりやすくすると同時に、不安定にもしていることがわかりました。

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特別奨励賞[花王特別奨励賞] ノートルダム清心学園清心女子高等学校 前田萌絵、坪倉妃那

花王特別奨励賞 賞状、副賞

前田萌絵、坪倉妃那
(ノートルダム清心学園清心女子高等学校)

フギレデンジソウの研究
~小葉が“ふぎれる”しくみの解明~

植物科学

フギレデンジソウの観察を行っているうちに、小葉が成長しながら形を変化させていることに気づき、この現象を“ふぎれる”と名前をつけ、そのメカニズムについて研究を始めました。フギレデンジソウの大きな魅力は、小葉の形が可愛らしいハート形をしているところです。私たちは、成長するにつれて、ハート形から先端の切れ込みの数を増やしていくこと、また、小葉の原基(元の形)はハート形ではないこと、水に浸けて育てることで切れ込みがなくなることを確認しました。
これより、“ふぎれる”しくみは、まわりの環境条件によって影響されるのではないかと仮説を立てました。水没させることで切れ込みがなくなったため、小葉の周りの気体による影響を考えて実験を行った結果、気体の植物ホルモンであるエチレンの作用により、小葉の細胞死が生じることで切れ込みが生まれることを突き止めました。

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審査委員奨励賞

審査委員奨励賞 愛知県立岡崎高等学校・静岡県立浜松北高等学校 宮田美友花・内山彩絵

審査委員奨励賞 賞状、研究奨励金

宮田美友花・内山彩絵
(愛知県立岡崎高等学校・静岡県立浜松北高等学校)

EBウイルスの自然免疫系から
逃れるための生存戦略
-ウイルス発癌の新しい分子機構の解明

生物医学・健康科学

がんなどを始めとする様々な難病の原因となるEBウイルスは、どのようにしてヒトの体内で免疫から逃れて生存しているのかを解明するために、EBウイルスの遺伝子の1つのBLRF2に着目して、その機能解析を行いました。そのためにまずはBLRF2はEBウイルスの感染のどの段階で現れるのか、細胞内のどこで現れるのかを調べました。その次に、BLRF2の機能に迫るべく、人のウイルスに対する反応である自然免疫において重要な役割をもつインターフェロンβという物質へのBLRF2が及ぼす影響を解明しました。

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審査委員奨励賞 千葉県立船橋高等学校 佐藤ふたば

審査委員奨励賞 賞状、研究奨励金

佐藤ふたば
(千葉県立船橋高等学校)

ブレスレットモデルを用いたルカ数列の拡張

数学

 1重ブレスレットモデルは、黒と白のビーズからなるホック入りのブレスレットで、黒ビーズが互いに隣り合わせないように配置したものです。このブレスレットの黒と白のビーズがあわせてn個(n≧2)のときの場合の数が、ルカ数列という数列の第n項と一致することが先行研究で知られています。
本研究は、このブレスレットモデルを2重、3重、さらにはm重にした場合について考察しました。場合分けの表をもとに行列を用いて考察した結果、いくつかの場合の数を数列の漸化式で表すことができました。漸化式を求める過程をみると、これらの数列はブレスレットモデルによってルカ整数を拡張したものと捉えることができます。

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審査委員奨励賞 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 石牟礼碧衣

審査委員奨励賞 賞状、研究奨励金

石牟礼碧衣
(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)

地球影~誰彼刻を追ふ~

地球・環境科学

夜明け前や日没後、太陽を背にして空を見ると、地平付近に「地球影」「ビーナスベルト」と呼ばれる現象が現れます。地球影は、地球の影の部分(夜)が大気に映って、ビーナスベルトは、大気で散乱されて赤くなった太陽光が、12~50kmの大気を照らして、それぞれ見えていると言われています。しかし、これが本当なのかを科学的に検証した研究は見つかりませんでした。そこで、光の当たり方をシミュレートした理論計算と、実際の観測を組み合わせ、これらの現象がどのようにして起こっているのかを調べました。その結果、地球影が本当に地球の影であること、ビーナスベルトが照らしている大気が、今言われているよりも低い高度である可能性があることがわかりました。

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