活用事例

東京情報大学(千葉市若葉区)

PDFにし「LINE(ライン)」経由で学生のスマホへ
授業で代わるがわる記事読み上げ、間違い修正

図表やグラフを読み解くシートを多用

東京情報大学の基礎学力向上
教育専門委員長を務める
鈴木英男・准教授

東京情報大の時事ワークシート(時事WS)の活用法はユニークだ。スキャナーでPDFにし、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って学生のスマートフォンに送信する。指導する鈴木英男・総合情報学部准教授は「なんといっても手軽。そのうえ、スマホならいつでもどこでも何度でも読み返せる。学生は字の小ささも気にならないようです」と話す。

鈴木准教授は「基礎学力向上教育専門委員会」の委員長。「基礎演習」という必修科目で1、2年生が週に1回、時事WSに取り組んでいる。

時事WSを導入したのは2014年。1、2年生は、それぞれ500人ほどが在籍する。基礎演習は10人前後の少人数で授業を受ける。図表やグラフを読み解き、記述式で解答するシート「図とグラフ」を使うことが多いという。

このシートで培われる力は、教育界で近年話題のPISA調査が立脚する学力観とも一致する。PISA調査は、図表やグラフに写真を加えた「非連続型テキスト」から情報を読み取る力も重視するからだ。非連続型テキストとは、文学的文章や説明的文章のような「連続型テキスト」に対置する概念。PISA調査は、世界各国の15歳を対象に経済協力開発機構(OECD)が実施していることもあり、学力の世界標準のひとつとされる。

授業の進め方も独特だ。学生たちはまず記事を読み上げる。すると熟語を読み間違えたり、時事用語を読めなかったりといった場面がある。

具体的には、「振興」を字面と意味が似通っている「ふっこう(復興)」と読んだり、「特措法」で詰まったりする学生もいるが、鈴木准教授にしてみれば織り込みずみ。なぜなら、時事WS導入の発端には、授業で目のあたりにした、こうした基礎学力が低い一部の学生を高めたいという思いがあったからにほかならない。

「学生たちが社会人になって、会社で読み合わせや確認といった作業にあたるとき、恥をかくことがないようにさせたい。でも自学自習だけではおぼつかないので、こうした手法をとり入れました」。ただし、間違いについての指摘は、言葉のレベルなどに応じて、その場で言及する場合と授業後に言及する場合とに分けているという。

時事用語や時代のキーワードは教養のモノサシ

スマートフォンで時事ワークシートの問題を
確かめながら、解答に取り組む学生たち

学生たちは読み上げが終わると、問題に挑戦。15分ほどで解き終えたあとは、1問ずつ代わるがわる答えを述べる。

時事WSの特性・長所について、鈴木准教授は次のように言う。「新聞は、ベーシックな読み書きの力をつけたり、測ったりする教材に適している半面、情報量が多すぎて取捨選択に苦労するという難点もある。その点、時事WSは精選された記事をもとに、教材への加工というお膳立てまで済んでいる。教養のモノサシとも言える時事用語や時代のキーワードも身につきます」

〈時事ワークシートの使い方〉
① シート1本の元記事と問題をPDFにして、「LINE(ライン)」で学生のスマホに送信
② 授業で学生はスマホを手に、代わるがわる元記事を読み上げる
③ 読み上げが終わると、各学生が元記事中の気になる時事用語などをスマホでネット検索
④ 15分ほどかけて問題の解答をメモ用紙に記入
⑤ 1問ずつ学生が代わるがわる答えを述べる