講義リポート

東京都立大学

「AI車いすシステム」を生徒が体験
@八千代松陰高校(千葉県)

串山 久美子

システムデザイン学部インダストリアルアート学科 教授 長崎県出身/長崎県立長崎北高等学校

 東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科の串山久美子教授は、千葉県八千代市の八千代松陰高校を訪問。IGS(特進)コースの1、2年生ら約40人に、「メディアアートって何だろう?」というテーマで講義した。


 串山教授は高速通信網「5G」やAI(人工知能)など、デジタル技術を活用した表現方法「メディアアート」の制作と研究をしている。中でも、人間の動きに合わせて作品の形や色、音が変化するなど、観客参加型の「インタラクティブアート」が専門。その一例として、デジタルアート集団「チームラボ」の展示を取り上げた。「こうした作品にはデザインを考えるアーティストだけでなく、技術面を支えるプログラマー、全体を統括するマネジャーなど、さまざまな立場の人が関わっています」とし、「『自分だったら、何をしたいだろう?』と考えながら鑑賞すると、より作品が身近になりますよ」と語りかけた。


 続いて、メディアアートの歴史について触れ、「テレビやコンピューターなど、新しい技術が現れると、それらを使ったアート作品が生まれ、時代を反映してきました」と説明。10世紀から続く影絵芝居から、現在のVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルの元祖とも言える装置まで、実際の写真や映像を交えながら紹介すると、生徒は真剣な表情で聴き入っていた。


 後半は串山教授が手がけた作品や研究について触れ、そして、研究室で進めている「AI車いすシステム」プロジェクトの話題に。カメラやセンサー、GPSなどを装着した車いすが障害物や目的物を検知すると、音声や振動で知らせるなど、車いす利用者が1人でも安全に移動できるよう日々研究を進めているという。さらに、車いすの自動運転を実現するソフトウェアなども開発しており、「こうした研究によって、障害の有無に関わらず、誰もが暮らしやすい社会をつくっていきたい」と語った。


 最後に研究室の風景やワークショップの模様なども紹介しながら、「研究は大学だけで完結するものではなく、社会と広くつながっています。みなさんも受け身ではなく、自ら発信したり、創造したりする人になってください」と締めくくった。


 講義が終わっても「AI車いすシステム」を実際に体験したり、串山教授に質問したり、好奇心が尽きない様子の生徒たち。デザインと工学に興味があるという佐藤陽百合ひよりさん(2年)は「アートとデジタル技術を融合した学問があると知り、選択の幅が広がりました」と話した。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編・統合し、「首都大学東京」として開学。2020年、現在の大学名に変更した。都内唯一の公立総合大学で、人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科がある。

東京都立大学

「AI車いすシステム」を生徒が体験
@八千代松陰高校(千葉県)

串山 久美子

システムデザイン学部インダストリアルアート学科 教授
長崎県出身/長崎県立長崎北高等学校

 東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科の串山久美子教授は、千葉県八千代市の八千代松陰高校を訪問。IGS(特進)コースの1、2年生ら約40人に、「メディアアートって何だろう?」というテーマで講義した。


 串山教授は高速通信網「5G」やAI(人工知能)など、デジタル技術を活用した表現方法「メディアアート」の制作と研究をしている。中でも、人間の動きに合わせて作品の形や色、音が変化するなど、観客参加型の「インタラクティブアート」が専門。その一例として、デジタルアート集団「チームラボ」の展示を取り上げた。「こうした作品にはデザインを考えるアーティストだけでなく、技術面を支えるプログラマー、全体を統括するマネジャーなど、さまざまな立場の人が関わっています」とし、「『自分だったら、何をしたいだろう?』と考えながら鑑賞すると、より作品が身近になりますよ」と語りかけた。


 続いて、メディアアートの歴史について触れ、「テレビやコンピューターなど、新しい技術が現れると、それらを使ったアート作品が生まれ、時代を反映してきました」と説明。10世紀から続く影絵芝居から、現在のVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルの元祖とも言える装置まで、実際の写真や映像を交えながら紹介すると、生徒は真剣な表情で聴き入っていた。


 後半は串山教授が手がけた作品や研究について触れ、そして、研究室で進めている「AI車いすシステム」プロジェクトの話題に。カメラやセンサー、GPSなどを装着した車いすが障害物や目的物を検知すると、音声や振動で知らせるなど、車いす利用者が1人でも安全に移動できるよう日々研究を進めているという。さらに、車いすの自動運転を実現するソフトウェアなども開発しており、「こうした研究によって、障害の有無に関わらず、誰もが暮らしやすい社会をつくっていきたい」と語った。


 最後に研究室の風景やワークショップの模様なども紹介しながら、「研究は大学だけで完結するものではなく、社会と広くつながっています。みなさんも受け身ではなく、自ら発信したり、創造したりする人になってください」と締めくくった。


 講義が終わっても「AI車いすシステム」を実際に体験したり、串山教授に質問したり、好奇心が尽きない様子の生徒たち。デザインと工学に興味があるという佐藤陽百合ひよりさん(2年)は「アートとデジタル技術を融合した学問があると知り、選択の幅が広がりました」と話した。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編・統合し、「首都大学東京」として開学。2020年、現在の大学名に変更した。都内唯一の公立総合大学で、人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科がある。