講義リポート

同志社大学

SDGsの実現に欠かせないジェンダーの視点
@岐阜県立岐阜高

新見 陽子

政策学部教授 広島県出身/Chichester College(イギリス)

 2023年11月2日、岐阜市の県立岐阜高校で、同志社大学政策学部の新見陽子教授が「SDGs達成に向けて 国際協力に求められるジェンダーの視点」と題し、オンラインを含めた約40人に講義した。


 新見教授の専門は国際協力やジェンダー。中学校卒業後に単身でイギリスに渡り、高校、大学を卒業。その後、アジア開発銀行で働いた経験などを基に話した。


 ジェンダーには生物学的な性差のほか、社会規範によって構築された性差があると説明。渡英した当初、ホストファーザーが食器を洗ったり掃除機をかけたりする姿を見て違和感を持ったという。「私の父は家事をしない人だったので。ずっと同じ社会にいると社会規範は見えにくいもの」だと、海外に飛び出したことで得た体験を紹介した。


 SDGs(持続可能な開発目標)について、発展途上国の援助にはジェンダーの視点が欠かせないことを強調した。「援助の恩恵は男性に偏りがち。国全体の水準を上げるには、男女で同じ水準にしてくことが大事」。6年半働いたアジア開発銀行では、計画から開発に関わる事業の全ての段階で女性が参加を推進され、それが国際的な潮流だと実感したという。


 「ジェンダー平等」とは、全ての人々が性別に関わらず平等な権利を持ち、自分ことを自分で決められることだと説明した。だが現状は、女子だから学校に行けなかったり、宗教の理由でスカーフをしなくてはならなかったり。「自分で決めるという当たり前のことが、社会によっては保証されていないことは大きな問題」と話した。


 健康や生活水準の男女格差を示す指数など、ジェンダー平等に関する様々なデータも紹介し、「途上国だけでなく、日本や先進諸国も抱えている課題」と指摘。「ジェンダー不平等は人類の半分の人が機会や権利を保障されていないということ。そんな状況で持続可能な社会を実現させることはできない」とし、生徒たちに「おかしいと思うことがあれば、それを受け止め、声を上げ、時には行動に移すことが大事」と語りかけた。


 同校は、2024年3月に海外研修を実施する。参加を希望した生徒がアメリカ・サンディエゴの2大学を訪れ、SDGsについて大学生とディスカッションする。講義を受けたのは研修に参加する生徒が大半で、その1人、平田菜々花さん(1年)は「女性への支援が社会全体への向上につながると知って驚いた。将来は社会の役に立てる仕事をしたい」と話した。

同志社大学

1875年、新島襄が京都で設立した同志社英学校をルーツとする、14学部・16研究科で構成される私立総合大学。京都市内の京都御所に近い今出川と、広大な面積を持つ京田辺の2キャンパスがある。政策学部は、政治、経済、法律、組織などさまざまな視点から現代社会の問題を発見し、「政策」を立案することをテーマにする。

●公式ウェブサイト https://www.doshisha.ac.jp/

同志社大学

SDGsの実現に欠かせない
ジェンダーの視点
@岐阜県立岐阜高

新見 陽子

政策学部教授 広島県出身/Chichester College(イギリス)

 2023年11月2日、岐阜市の県立岐阜高校で、同志社大学政策学部の新見陽子教授が「SDGs達成に向けて 国際協力に求められるジェンダーの視点」と題し、オンラインを含めた約40人に講義した。


 新見教授の専門は国際協力やジェンダー。中学校卒業後に単身でイギリスに渡り、高校、大学を卒業。その後、アジア開発銀行で働いた経験などを基に話した。


 ジェンダーには生物学的な性差のほか、社会規範によって構築された性差があると説明。渡英した当初、ホストファーザーが食器を洗ったり掃除機をかけたりする姿を見て違和感を持ったという。「私の父は家事をしない人だったので。ずっと同じ社会にいると社会規範は見えにくいもの」だと、海外に飛び出したことで得た体験を紹介した。


 SDGs(持続可能な開発目標)について、発展途上国の援助にはジェンダーの視点が欠かせないことを強調した。「援助の恩恵は男性に偏りがち。国全体の水準を上げるには、男女で同じ水準にしてくことが大事」。6年半働いたアジア開発銀行では、計画から開発に関わる事業の全ての段階で女性が参加を推進され、それが国際的な潮流だと実感したという。


 「ジェンダー平等」とは、全ての人々が性別に関わらず平等な権利を持ち、自分ことを自分で決められることだと説明した。だが現状は、女子だから学校に行けなかったり、宗教の理由でスカーフをしなくてはならなかったり。「自分で決めるという当たり前のことが、社会によっては保証されていないことは大きな問題」と話した。


 健康や生活水準の男女格差を示す指数など、ジェンダー平等に関する様々なデータも紹介し、「途上国だけでなく、日本や先進諸国も抱えている課題」と指摘。「ジェンダー不平等は人類の半分の人が機会や権利を保障されていないということ。そんな状況で持続可能な社会を実現させることはできない」とし、生徒たちに「おかしいと思うことがあれば、それを受け止め、声を上げ、時には行動に移すことが大事」と語りかけた。


 同校は、2024年3月に海外研修を実施する。参加を希望した生徒がアメリカ・サンディエゴの2大学を訪れ、SDGsについて大学生とディスカッションする。講義を受けたのは研修に参加する生徒が大半で、その1人、平田菜々花さん(1年)は「女性への支援が社会全体への向上につながると知って驚いた。将来は社会の役に立てる仕事をしたい」と話した。

同志社大学

1875年、新島襄が京都で設立した同志社英学校をルーツとする、14学部・16研究科で構成される私立総合大学。京都市内の京都御所に近い今出川と、広大な面積を持つ京田辺の2キャンパスがある。政策学部は、政治、経済、法律、組織などさまざまな視点から現代社会の問題を発見し、「政策」を立案することをテーマにする。

●公式ウェブサイト https://www.doshisha.ac.jp/