講義リポート

東京理科大学

自ら実験、観測し、考えよう
@横須賀学院高(神奈川県)

川村 康文

理学部第一部物理学科教授 京都府出身/洛南高等学校

 2023年11月9日、神奈川県横須賀市の横須賀学院高校で、東京理科大学理学部の川村康文教授(物理教育、サイエンス・コミュニケーション)が、「省エネ電球からSDGsを考える」と題して1~3年生20人に講義した。


 川村教授は、「研究は耳学問ではなく、自ら実験、観測し、得られたデータから何が読み取れるかと考えることが大事です」と指摘。その言葉通り、生徒自身が手を動かしながら考える形で進められた。


 まずは、一人ひとりが黒いテープや紙製の筒などを使い、光を虹のように様々な色(波長)に分けて観察できる「分光筒」を制作。完成した筒を使い、白熱電球や電球型蛍光灯、LED電球が発する光の特徴を観察したり、電球に手をかざして熱さの違いを体感したりした。


 電球の種類ごとの特徴を知ることで、家庭や学校の明かりを自ら観察し、SDGsへの意識を高めてもらうのが狙い。川村教授は「例えば白熱電球は消費電力が多いだけでなく、多くの熱を出すのでエアコンの使用も増えてしまう。みなさんはSDGsを言葉として語るだけでなく、『実際にこういう取り組みをした』と言えるようになってほしい」と呼びかけた。


 LEDは「発光ダイオード」と呼ばれる半導体で、英語の「Light Emitting Diode」の頭文字。1960年代には赤色が開発されていたが、後にノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんが93年、青色を発明したことで光の三原色である赤、緑、青がそろい、急速に普及した。川村教授はこうした歴史にも触れ、「科学技術は一歩一歩の積み重ねです。きょう受講しているみなさんの中から、より良いLEDを目指す研究者が出てほしい」と激励した。


 受講した2年の貞廣宇保さんは「電球による光の違いを自分の目で確かめられて勉強になった。これからも『自分の目で見る』ことを大切にしていきたい」と語った。同じく2年の吉兼友渚さんは「電球の種類によるメリットやデメリットがよく分かった。『理系も文系の知識や教養を高めるべきだ』と話されていたので、関心の幅を広げて大学選びにも生かしたい」と話していた。

東京理科大学

1881年、「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神をかかげ、「東京物理学講習所」として設立された。創立以来、真に実力を身につけた学生だけを卒業させる「実力主義」を伝統とする。現在は、神楽坂、野田、葛飾、北海道・長万部のキャンパスに7学部33学科7研究科を擁する、日本随一の理工系総合大学となっている。

●公式ウェブサイト https://www.tus.ac.jp/

東京理科大学

自ら実験、観測し、考えよう
@横須賀学院高(神奈川県)

川村 康文

理学部第一部物理学科教授 京都府出身/洛南高等学校

 2023年11月9日、神奈川県横須賀市の横須賀学院高校で、東京理科大学理学部の川村康文教授(物理教育、サイエンス・コミュニケーション)が、「省エネ電球からSDGsを考える」と題して1~3年生20人に講義した。


 川村教授は、「研究は耳学問ではなく、自ら実験、観測し、得られたデータから何が読み取れるかと考えることが大事です」と指摘。その言葉通り、生徒自身が手を動かしながら考える形で進められた。


 まずは、一人ひとりが黒いテープや紙製の筒などを使い、光を虹のように様々な色(波長)に分けて観察できる「分光筒」を制作。完成した筒を使い、白熱電球や電球型蛍光灯、LED電球が発する光の特徴を観察したり、電球に手をかざして熱さの違いを体感したりした。


 電球の種類ごとの特徴を知ることで、家庭や学校の明かりを自ら観察し、SDGsへの意識を高めてもらうのが狙い。川村教授は「例えば白熱電球は消費電力が多いだけでなく、多くの熱を出すのでエアコンの使用も増えてしまう。みなさんはSDGsを言葉として語るだけでなく、『実際にこういう取り組みをした』と言えるようになってほしい」と呼びかけた。


 LEDは「発光ダイオード」と呼ばれる半導体で、英語の「Light Emitting Diode」の頭文字。1960年代には赤色が開発されていたが、後にノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんが93年、青色を発明したことで光の三原色である赤、緑、青がそろい、急速に普及した。川村教授はこうした歴史にも触れ、「科学技術は一歩一歩の積み重ねです。きょう受講しているみなさんの中から、より良いLEDを目指す研究者が出てほしい」と激励した。


 受講した2年の貞廣宇保さんは「電球による光の違いを自分の目で確かめられて勉強になった。これからも『自分の目で見る』ことを大切にしていきたい」と語った。同じく2年の吉兼友渚さんは「電球の種類によるメリットやデメリットがよく分かった。『理系も文系の知識や教養を高めるべきだ』と話されていたので、関心の幅を広げて大学選びにも生かしたい」と話していた。

東京理科大学

1881年、「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神をかかげ、「東京物理学講習所」として設立された。創立以来、真に実力を身につけた学生だけを卒業させる「実力主義」を伝統とする。現在は、神楽坂、野田、葛飾、北海道・長万部のキャンパスに7学部33学科7研究科を擁する、日本随一の理工系総合大学となっている。

●公式ウェブサイト https://www.tus.ac.jp/