講義リポート

東京都立大学大学

見えている世界がすべて? 心理学の知識を日々に生かす
@北海道網走南ケ丘高校

樋口 貴広

人間健康科学研究科 知覚運動制御研究室 教授 宮城県出身/東北学院高等学校

 東京都立大学大学院人間健康科学研究科の樋口貴広教授は、北海道網走南ケ丘高校(網走市)を訪れ、「見えている世界がすべて? 認知と行動のサイエンス」と題して1~3年生約350人に講義した。


 樋口教授は実験心理学や認知科学が専門で、講義では知覚や認知に関する心理学の知識を、日々の運動や行動に生かすことについて、生徒と一緒に考えた。


 樋口教授は、白い服を着た4人のチームと黒い服を着た4人のチームがボールをパスする動画を用意し、白いチームのパスの回数を正確に数えるよう生徒に指示したうえで再生した。すると、途中でクマの着ぐるみの人物が堂々と画面を横切っても、多くの生徒はパスの回数に注意を向けていたため、気づかなかった。


 樋口教授は「注意を向けていないと自覚的に見えない」という現象の有名な事例だと説明。書類を書くときに、何度見直しても見つからなかったミスが、別の人が見ることですぐに見つかる場合を同様の事例として挙げ、「『ミスはないはずだ』と思って読むと、見ていてもミスとして認識できない」と指摘。「受験のときも、注意を適切に向けなければ、ミスはあり得るので気をつけて」とアドバイスした。


 講義後、金重あかりさん(2年)は「文章を読み直しても誤字脱字に気づけないことがある。講義を参考に、間違いはあるものと思って注意深く読んだり、ほかの人にも読んでもらったりしたい」。大崎拓海さん(2年)は「一つのことに注意を払っていると、別のことに注意を払えないことは確かにあると思った。忘れ物をしそうな時などに思い出して、気をつけたい」と感想を話した。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編・統合し、「首都大学東京」として開学。2020年、現在の大学名に変更した。都内唯一の公立総合大学で、人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科がある。

東京都立大学大学

見えている世界がすべて?
心理学の知識を日々に生かす
@北海道網走南ケ丘高校

樋口 貴広

人間健康科学研究科 知覚運動制御研究室 教授
宮城県出身/東北学院高等学校

 東京都立大学大学院人間健康科学研究科の樋口貴広教授は、北海道網走南ケ丘高校(網走市)を訪れ、「見えている世界がすべて? 認知と行動のサイエンス」と題して1~3年生約350人に講義した。


 樋口教授は実験心理学や認知科学が専門で、講義では知覚や認知に関する心理学の知識を、日々の運動や行動に生かすことについて、生徒と一緒に考えた。


 樋口教授は、白い服を着た4人のチームと黒い服を着た4人のチームがボールをパスする動画を用意し、白いチームのパスの回数を正確に数えるよう生徒に指示したうえで再生した。すると、途中でクマの着ぐるみの人物が堂々と画面を横切っても、多くの生徒はパスの回数に注意を向けていたため、気づかなかった。


 樋口教授は「注意を向けていないと自覚的に見えない」という現象の有名な事例だと説明。書類を書くときに、何度見直しても見つからなかったミスが、別の人が見ることですぐに見つかる場合を同様の事例として挙げ、「『ミスはないはずだ』と思って読むと、見ていてもミスとして認識できない」と指摘。「受験のときも、注意を適切に向けなければ、ミスはあり得るので気をつけて」とアドバイスした。


 講義後、金重あかりさん(2年)は「文章を読み直しても誤字脱字に気づけないことがある。講義を参考に、間違いはあるものと思って注意深く読んだり、ほかの人にも読んでもらったりしたい」。大崎拓海さん(2年)は「一つのことに注意を払っていると、別のことに注意を払えないことは確かにあると思った。忘れ物をしそうな時などに思い出して、気をつけたい」と感想を話した。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編・統合し、「首都大学東京」として開学。2020年、現在の大学名に変更した。都内唯一の公立総合大学で、人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科がある。