講義リポート

公立諏訪東京理科大学

燃焼工学で地球温暖化を止める
@愛媛・松山北高校

今村 友彦

工学部機械電気工学科 准教授 愛媛県出身/愛媛県立 新居浜西高校

 公立諏訪東京理科大学(長野県)工学部の今村友彦准教授は、松山市の愛媛県立松山北高校を訪問。「燃焼工学で地球温暖化を止める~グローバルスタンダードへの挑戦~」と題し、1~3年生の48人に講義した。


 今村准教授は燃焼工学や安全工学などが専門。「今日のテーマは『燃焼工学』を使って『地球温暖化を止めること』。一見関連がなさそうな二つが、どうつながるかを話します」と切り出し、地球温暖化の原因は温室効果ガスにあることや、エアコンに必要な冷媒として使われるフロンガスが、とりわけ高い温室効果をもたらすことを説明した。オゾン層を破壊し、温室効果への影響が大きいフロンガスは、1997年の京都議定書など国際規制によって全廃や削減を定められ、国際基準に合わせた代替のフロンガスが開発されていく推移を紹介。「いくらよく冷えるエアコンでも、グローバルスタンダードを満たさなければ販売すらできない時代です」と加えた。


 さらに近年の代替候補として挙がるフロンガスは、温室効果への影響は少ない一方で、燃えやすい性質があると指摘。今村准教授は、これら代替フロンガスの安全性を評価し適切に扱うための国家プロジェクトに、2011年から4年間加わった経験を話した。フロンガスをはじめとする可燃性ガスは着火する濃度範囲を持っており、燃えることの仕組みを理解する上で重要という。今村准教授はこれらの考え方に基づく「燃焼工学」や、火災・爆発など事故リスクを低減する「安全工学」をベースに実験を行い、どんな条件で事故の恐れがあるかを検証していった過程を紹介。カラオケボックスを模した空間を代替フロンガスで満たし、換気の有無で火の付き方がどう違うかを実験した映像も織り交ぜた。換気ほか必要な対策を講じた上で使用すれば事故にはならないと実証した結果、これらの代替フロンガスは法律で不活性ガスに位置づけられ、エアコンに利用しやすくなったという成果にも触れた。


 16年に採択された国際議定書では、代替フロンガスの生産・消費のさらなる削減が義務化され、新たな基準を満たすためにプロパンを冷媒に利用しようとする世界のトレンドも紹介した。今村准教授も現在研究を進めており、「良い成果が出ると学会で発表し、世の中に広めるのがミッションです」と研究のやりがいを述べた。


 聴講した3年生の土井幹太さんは「志望する大学では、二酸化炭素を吸収する素材の研究をしたい。規模の大きな実験ができる大学の環境はすごいと思った」と振り返った。総合学習の授業で松山市の環境対策を調べている1年生の八島花菜はななさんは「日常生活に欠かせないエアコンが環境にこれだけ配慮されていると知り、今後のヒントになった」と話した。

公立諏訪東京理科大学

2002年、「工学と経営学の融合教育」を柱に、東京理科大学の姉妹校として開学。18年、公立大学となり名称変更した。工学部に情報応用工学科と機械電気工学科がある。

小樽商科大学

燃焼工学で地球温暖化を止める
@愛媛・松山北高校

今村 友彦

工学部機械電気工学科 准教授
愛媛県出身/愛媛県立 新居浜西高校

 公立諏訪東京理科大学(長野県)工学部の今村友彦准教授は、松山市の愛媛県立松山北高校を訪問。「燃焼工学で地球温暖化を止める~グローバルスタンダードへの挑戦~」と題し、1~3年生の48人に講義した。


 今村准教授は燃焼工学や安全工学などが専門。「今日のテーマは『燃焼工学』を使って『地球温暖化を止めること』。一見関連がなさそうな二つが、どうつながるかを話します」と切り出し、地球温暖化の原因は温室効果ガスにあることや、エアコンに必要な冷媒として使われるフロンガスが、とりわけ高い温室効果をもたらすことを説明した。オゾン層を破壊し、温室効果への影響が大きいフロンガスは、1997年の京都議定書など国際規制によって全廃や削減を定められ、国際基準に合わせた代替のフロンガスが開発されていく推移を紹介。「いくらよく冷えるエアコンでも、グローバルスタンダードを満たさなければ販売すらできない時代です」と加えた。


 さらに近年の代替候補として挙がるフロンガスは、温室効果への影響は少ない一方で、燃えやすい性質があると指摘。今村准教授は、これら代替フロンガスの安全性を評価し適切に扱うための国家プロジェクトに、2011年から4年間加わった経験を話した。フロンガスをはじめとする可燃性ガスは着火する濃度範囲を持っており、燃えることの仕組みを理解する上で重要という。今村准教授はこれらの考え方に基づく「燃焼工学」や、火災・爆発など事故リスクを低減する「安全工学」をベースに実験を行い、どんな条件で事故の恐れがあるかを検証していった過程を紹介。カラオケボックスを模した空間を代替フロンガスで満たし、換気の有無で火の付き方がどう違うかを実験した映像も織り交ぜた。換気ほか必要な対策を講じた上で使用すれば事故にはならないと実証した結果、これらの代替フロンガスは法律で不活性ガスに位置づけられ、エアコンに利用しやすくなったという成果にも触れた。


 16年に採択された国際議定書では、代替フロンガスの生産・消費のさらなる削減が義務化され、新たな基準を満たすためにプロパンを冷媒に利用しようとする世界のトレンドも紹介した。今村准教授も現在研究を進めており、「良い成果が出ると学会で発表し、世の中に広めるのがミッションです」と研究のやりがいを述べた。


 聴講した3年生の土井幹太さんは「志望する大学では、二酸化炭素を吸収する素材の研究をしたい。規模の大きな実験ができる大学の環境はすごいと思った」と振り返った。総合学習の授業で松山市の環境対策を調べている1年生の八島花菜はななさんは「日常生活に欠かせないエアコンが環境にこれだけ配慮されていると知り、今後のヒントになった」と話した。

公立諏訪東京理科大学

2002年、「工学と経営学の融合教育」を柱に、東京理科大学の姉妹校として開学。18年、公立大学となり名称変更した。工学部に情報応用工学科と機械電気工学科がある。