講義リポート

東京都立大学

ゲーム理論で人間の行動を予測
@東京・八王子東高校

渡辺 隆裕

経済経営学部 教授 北海道出身/室蘭栄高校

 東京都立大学経済経営学部の渡辺隆裕教授は、東京都八王子市の都立八王子東高校を訪問。1~3年生16人に「ゲーム理論って何だろう」と題して講義した。


 渡辺教授は、ゲーム理論について「経済や社会、ビジネスの様々な問題を、個人や企業、政府などをプレーヤーと考えて、それぞれがどのように行動するのかを数学的に研究するもの」と説明。コンピューターの父として知られる数学者、フォン・ノイマンの1944年の本がその始まりで、90年代以降、経済学の中心的な役割を担っており、経済学以外に経営学や政治学、生物の進化の説明など様々分野で使われていることを解説した。


 ゲーム理論の具体例として、ファミモとセレブという二つのコンビニ店がAとBの駅に出店を計画しているときの戦略決定の仕方を紹介。利用客の見込み数はA駅が600人、B駅が300人で、ファミモがセレブの2倍の客数を獲得できるとの設定だ。


 この場合、獲得客数を考えると、ファミモがA駅への出店を選ぶとセレブはB駅を選んだ方がよいが、ファミモがB駅を選んだときは、セレブはA駅を選ぶ方がよくなる。セレブの選択はファミモの選択に依存する。これに対し獲得客数が2倍の店の選択はもう一方の店の選択に依存せずに、A駅を選んだ方がよい。


 このような相手の行動を予測して最適の戦略を選び合うことが、ゲーム理論の考え方であり、その答を「ナッシュ均衡」と呼ぶことを説明した。


 また、男性女性がグーとパーしか出せないじゃんけんをして、互いにパーを出すと女性が2万円、男性が1万円もらえ、互いにグーを出すと女性が1万円、男性が2万円もらえるが、両者が違う手を出すと0円となる想定のゲームでどうなるかの実験ゲームも紹介。生徒にやらせると女子生徒はパーを出し、男子生徒がグーを出した。


 両者が同じ手を出すことが「ナッシュ均衡」だったが、互いに共通して結果を予測できる手がかりがないと、うまくいかないことが多いことを解説。レディーファーストのようなルールがあると、それに合わせることで双方がうまくいくことも説明した。


 参加した2年生の女子は「人間の行動が数式で予測できることがわかり、おもしろかった」と授業の感想を話していた。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編、統合し「首都大学東京」として開学、20年に現在の大学名に変更した都内唯一の公立総合大学。人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科。

東京都立大学

ゲーム理論で人間の行動を予測
@東京・八王子東高校

渡辺 隆裕

経済経営学部 教授 北海道出身/室蘭栄高校

 東京都立大学経済経営学部の渡辺隆裕教授は、東京都八王子市の都立八王子東高校を訪問。1~3年生16人に「ゲーム理論って何だろう」と題して講義した。


 渡辺教授は、ゲーム理論について「経済や社会、ビジネスの様々な問題を、個人や企業、政府などをプレーヤーと考えて、それぞれがどのように行動するのかを数学的に研究するもの」と説明。コンピューターの父として知られる数学者、フォン・ノイマンの1944年の本がその始まりで、90年代以降、経済学の中心的な役割を担っており、経済学以外に経営学や政治学、生物の進化の説明など様々分野で使われていることを解説した。


 ゲーム理論の具体例として、ファミモとセレブという二つのコンビニ店がAとBの駅に出店を計画しているときの戦略決定の仕方を紹介。利用客の見込み数はA駅が600人、B駅が300人で、ファミモがセレブの2倍の客数を獲得できるとの設定だ。


 この場合、獲得客数を考えると、ファミモがA駅への出店を選ぶとセレブはB駅を選んだ方がよいが、ファミモがB駅を選んだときは、セレブはA駅を選ぶ方がよくなる。セレブの選択はファミモの選択に依存する。これに対し獲得客数が2倍の店の選択はもう一方の店の選択に依存せずに、A駅を選んだ方がよい。


 このような相手の行動を予測して最適の戦略を選び合うことが、ゲーム理論の考え方であり、その答を「ナッシュ均衡」と呼ぶことを説明した。


 また、男性女性がグーとパーしか出せないじゃんけんをして、互いにパーを出すと女性が2万円、男性が1万円もらえ、互いにグーを出すと女性が1万円、男性が2万円もらえるが、両者が違う手を出すと0円となる想定のゲームでどうなるかの実験ゲームも紹介。生徒にやらせると女子生徒はパーを出し、男子生徒がグーを出した。


 両者が同じ手を出すことが「ナッシュ均衡」だったが、互いに共通して結果を予測できる手がかりがないと、うまくいかないことが多いことを解説。レディーファーストのようなルールがあると、それに合わせることで双方がうまくいくことも説明した。


 参加した2年生の女子は「人間の行動が数式で予測できることがわかり、おもしろかった」と授業の感想を話していた。

東京都立大学

2005年に都立の四つの大学を再編、統合し「首都大学東京」として開学、20年に現在の大学名に変更した都内唯一の公立総合大学。人文社会、法、経済経営、理、都市環境、システムデザイン、健康福祉の7学部23学科。