講義リポート

横浜市立大学

活用進むデータサイエンス
@千葉・成東高校

小泉 和之

データサイエンス学部 准教授 千葉県出身/千葉県立 成東高等学校

 横浜市立大学データサイエンス学部の小泉和之准教授は千葉県山武市の県立成東高校を訪問。1年生270人に向けて、「データサイエンスの未来」というテーマで講義をした。


 同校の卒業生である小泉准教授は統計学をベースに、データサイエンスの理論や実社会での応用について研究している。「データサイエンスは今、もっとも世の中に必要とされているスキルです」と話し、身の回りにある活用例を紹介した。


 マーケティング分野において、「交通系ICカードなどを使い、自動販売機で飲み物を買うと、購入者の属性などのデータが収集され、消費者のニーズ調査や分析に利用されることがある」と説明した。あるメーカーが「夕方、果実系飲料を購入する中年男性が多い」という傾向をつかみ、商品パッケージを大人向けに変更したところ、さらに売り上げを伸ばしたという実例を紹介。こうしたデータ活用には、「分析スキルだけでなく、販売戦略を考えるなどのビジネススキルも求められる」と話した。


 ほかにも、医療現場でのX線画像分類や行政のオープンデータ活用などにも応用されていることを話すと、生徒たちは熱心にメモをとりながら聞いていた。


 後半は小泉准教授が学生らとの研究成果を実際に学会で発表した時の資料を用い、スポーツにおけるデータサイエンスの活用について取り上げた。人気バスケットボール漫画のエピソードを引用しながら、「リバウンドに成功した場合、何点分の価値があるのか。データサイエンスを使えば、あらゆるプレーが点数に換算できます」と説明。この分析には、高校数学で学ぶ指数関数を使うことができる。プレー内容をデータ化することで、「勝利への貢献度合いが明確になり、戦術に役立てられる」とし、野球やサッカーなど、さまざまなスポーツでデータ活用が進められていることを指摘した。


 最後に、「データサイエンスは新しい学問で、20年後、30年後も間違いなく必要とされます。みなさんには既存のシステムを使う人ではなく、新たなシステムを生み出す人になって欲しい。そのために、興味を持ったことは何にでも挑戦してください」と語りかけ、締めくくった。


 講義後、林一颯いっささんは「データサイエンスは理系だけでなく、文系にも必要なスキルだと実感しました」と話し、崎山隼士はやとさんも「マーケティングなど、身近な例が分かりやすかった。大学で学ぶ内容を聞くことができ、貴重な体験でした」と語った。また、将来は医療関係の仕事につきたいという宮沢侑希さんは「医療現場でも活用されていると聞き、応用範囲の広さに驚きました」と感想を話した。

横浜市立大学

1928年に横浜市立横浜商業専門学校として創設。49年に新制大学として発足。2018年に新設されたデータサイエンス学部のほか、国際教養学部、国際商学部、理学部、医学部がある。

横浜市立大学

活用進むデータサイエンス
@千葉・成東高校

小泉 和之

データサイエンス学部 准教授
千葉県出身/千葉県立 成東高等学校

 横浜市立大学データサイエンス学部の小泉和之准教授は千葉県山武市の県立成東高校を訪問。1年生270人に向けて、「データサイエンスの未来」というテーマで講義をした。


 同校の卒業生である小泉准教授は統計学をベースに、データサイエンスの理論や実社会での応用について研究している。「データサイエンスは今、もっとも世の中に必要とされているスキルです」と話し、身の回りにある活用例を紹介した。


 マーケティング分野において、「交通系ICカードなどを使い、自動販売機で飲み物を買うと、購入者の属性などのデータが収集され、消費者のニーズ調査や分析に利用されることがある」と説明した。あるメーカーが「夕方、果実系飲料を購入する中年男性が多い」という傾向をつかみ、商品パッケージを大人向けに変更したところ、さらに売り上げを伸ばしたという実例を紹介。こうしたデータ活用には、「分析スキルだけでなく、販売戦略を考えるなどのビジネススキルも求められる」と話した。


 ほかにも、医療現場でのX線画像分類や行政のオープンデータ活用などにも応用されていることを話すと、生徒たちは熱心にメモをとりながら聞いていた。


 後半は小泉准教授が学生らとの研究成果を実際に学会で発表した時の資料を用い、スポーツにおけるデータサイエンスの活用について取り上げた。人気バスケットボール漫画のエピソードを引用しながら、「リバウンドに成功した場合、何点分の価値があるのか。データサイエンスを使えば、あらゆるプレーが点数に換算できます」と説明。この分析には、高校数学で学ぶ指数関数を使うことができる。プレー内容をデータ化することで、「勝利への貢献度合いが明確になり、戦術に役立てられる」とし、野球やサッカーなど、さまざまなスポーツでデータ活用が進められていることを指摘した。


 最後に、「データサイエンスは新しい学問で、20年後、30年後も間違いなく必要とされます。みなさんには既存のシステムを使う人ではなく、新たなシステムを生み出す人になって欲しい。そのために、興味を持ったことは何にでも挑戦してください」と語りかけ、締めくくった。


 講義後、林一颯いっささんは「データサイエンスは理系だけでなく、文系にも必要なスキルだと実感しました」と話し、崎山隼士はやとさんも「マーケティングなど、身近な例が分かりやすかった。大学で学ぶ内容を聞くことができ、貴重な体験でした」と語った。また、将来は医療関係の仕事につきたいという宮沢侑希さんは「医療現場でも活用されていると聞き、応用範囲の広さに驚きました」と感想を話した。

横浜市立大学

1928年に横浜市立横浜商業専門学校として創設。49年に新制大学として発足。2018年に新設されたデータサイエンス学部のほか、国際教養学部、国際商学部、理学部、医学部がある。