講義リポート

中央大学

憲法の視点からSNSについて考える
@湘南白百合中学・高校(神奈川県)

武市 周作

法学部 教授 三重県出身/三重県立四日市高等学校

 武市周作教授は12月13日、神奈川県藤沢市の湘南白百合学園中学・高校で、「憲法の視点からSNSについて考える」とのテーマで講義した。


 武市教授は、憲法について「国家権力を制限して国民の権利を保障するルール」としたうえで、「国民を縛るのではなく国家を縛るもの」と説明した。


 また、憲法や法律に反していないかどうかを判断する仕組みとして裁判があり、刑事裁判と民事裁判などに分かれると紹介。「刑事責任は国家や社会に対する責任、民事責任は被害者に対する責任」で、一つの事件でも刑事責任と民事責任を分けて考えることが大切と述べた。


 近年はSNS上の法律問題が注目されているという。SNSへの投稿によっては人を傷つけてしまい、「スマホに触れれば簡単に名誉毀損しかねない時代。気をつけてほしい」と注意を促した。


 具体的には、人の名誉を毀損した場合は刑事責任を負わされる刑法の規定があり、公に知られていない私的な情報を流すプライバシー侵害では、刑法上の刑事責任は問われないものの、民事責任で損害賠償などが問われると解説した。


 一方、憲法21条は表現の自由を保障しており、「いろいろな考えや意見を交換し検討することは社会にとって重要」と説いた。名誉毀損的な表現でも、公共性のある内容で公益を図る目的があり、真実性が証明されたら罰しないとされていることも説明した。


 「法律を学ぶことで社会のいろいろな問題が見える半面、法律ができることは限られていると気づく。知識を集約、連係して社会問題に取り組むことが大切」と結んだ。


 講義を受けた高校2年の坂東愛悠美さんは「国民がもっと法律や憲法に興味を持ってニュースに向き合う必要があると感じた」、同2年の鈴木瑚子(こ・こ)さんは「SNSを毎日目にしていたが、憲法と法律の面から、自分のSNSの見方が変わった」と話した。

中央大学

1885年7月、法律家たちが東京・神田に開いた英吉利法律学校が始まり。1905年に中央大学と改称、多くの学部を持つ総合大学として発展を続ける。1978年、文系学部は広大な多摩キャンパスに移転。長年、法曹界に多くの人材を輩出してきた法学部は2023年、都心の茗荷谷キャンパスに移った。

●公式ウェブサイト https://www.chuo-u.ac.jp/

中央大学

憲法の視点からSNSについて考える
@湘南白百合中学・高校(神奈川県)

武市 周作

法学部 教授 三重県出身/三重県立四日市高等学校

 武市周作教授は12月13日、神奈川県藤沢市の湘南白百合学園中学・高校で、「憲法の視点からSNSについて考える」とのテーマで講義した。


 武市教授は、憲法について「国家権力を制限して国民の権利を保障するルール」としたうえで、「国民を縛るのではなく国家を縛るもの」と説明した。


 また、憲法や法律に反していないかどうかを判断する仕組みとして裁判があり、刑事裁判と民事裁判などに分かれると紹介。「刑事責任は国家や社会に対する責任、民事責任は被害者に対する責任」で、一つの事件でも刑事責任と民事責任を分けて考えることが大切と述べた。


 近年はSNS上の法律問題が注目されているという。SNSへの投稿によっては人を傷つけてしまい、「スマホに触れれば簡単に名誉毀損しかねない時代。気をつけてほしい」と注意を促した。


 具体的には、人の名誉を毀損した場合は刑事責任を負わされる刑法の規定があり、公に知られていない私的な情報を流すプライバシー侵害では、刑法上の刑事責任は問われないものの、民事責任で損害賠償などが問われると解説した。


 一方、憲法21条は表現の自由を保障しており、「いろいろな考えや意見を交換し検討することは社会にとって重要」と説いた。名誉毀損的な表現でも、公共性のある内容で公益を図る目的があり、真実性が証明されたら罰しないとされていることも説明した。


 「法律を学ぶことで社会のいろいろな問題が見える半面、法律ができることは限られていると気づく。知識を集約、連係して社会問題に取り組むことが大切」と結んだ。


 講義を受けた高校2年の坂東愛悠美さんは「国民がもっと法律や憲法に興味を持ってニュースに向き合う必要があると感じた」、同2年の鈴木瑚子(こ・こ)さんは「SNSを毎日目にしていたが、憲法と法律の面から、自分のSNSの見方が変わった」と話した。

中央大学

1885年7月、法律家たちが東京・神田に開いた英吉利法律学校が始まり。1905年に中央大学と改称、多くの学部を持つ総合大学として発展を続ける。1978年、文系学部は広大な多摩キャンパスに移転。長年、法曹界に多くの人材を輩出してきた法学部は2023年、都心の茗荷谷キャンパスに移った。

●公式ウェブサイト https://www.chuo-u.ac.jp/