講義リポート

慶應義塾大学

高校の学習を基礎に、大学で「発見」を
@AICJ中学・高校(広島県)

遠藤 正寛

商学部教授 埼玉県出身/埼玉県立大宮高等学校

 遠藤正寛教授は2023年11月13日、広島市安佐南区のAICJ中学・高校で、「国際・域際貿易と地域経済」と題して、中学3年~高校3年の約400人に講義した。


 遠藤教授は「高校は事象を知り、人類の知的資産を学ぶ場。大学や大学院は論理や因果関係を学び、知的資産をつくる場です」と語りかけ、経済学を題材に高校から大学までの学びのつながりを具体的に話した。


 高校の「政治・経済」の教科書に載っている、外国との取引内容や規模などを示す「国際収支表」を取り上げて「経常収支」や「資本移転等収支」「金融収支」などの項目について解説。次いで、「貸方」と「借方」に同額が記載されるなどの収支表の作成方法を説明した後、「各項目とその意味を学ぶのが高校で、収支表の作成方法や項目間の意味を学ぶのが大学です」と説いた。


 遠藤教授は「貿易赤字」を例に、「富の流出である」という誤った解釈が見られると指摘し、「富の流入です」と収支表をもとに解説した。


 また、国際収支表のフレームワーク(枠組み)を使い、中国からの輸入増が国内の雇用を減らすという1990年代後半の「輸入ショック」について広島地域を調べたところ、雇用はむしろ増加していたと報告。広島市や呉市の自動車、船舶関連産業で、原材料や部品を中国から輸入することで製品の国際的競争力を高めた結果ではないかと話した。遠藤教授は「高校での学習を基礎に、ぜひ大学で『発見』してください」と呼びかけた。


 講義の後、生徒から関税強化の是非や、ウクライナや、パレスチナ自治区ガザ地区での武力衝突が国際経済に与える影響など質問が相次いだ。高校2年のトウバル彩果さん(16)は「グローバルな視点を持つことと、因果関係などを主体的に考えていくことが大切なんだと思いました」と感想を話し、高校2年の河野孝太朗さん(17)は「話を聞いて、全てのことが密接に関わっているので全体像を見ることが必要なんだと思いました」と語った。

慶應義塾大学

1858年、福沢諭吉が江戸に開いた蘭学塾が始まり。「実学」の重要性を説いた福澤諭吉の志と理念を受け継ぎ、多くの卒業生が各界で活躍する。10学部の学生が東京都と神奈川県のキャンパスで学ぶ。商学部では、経営学、商業学、経済産業、会計学の4分野で幅広く勉強することができる。

●公式ウェブサイト https://www.keio.ac.jp/ja/

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高校の学習を基礎に、大学で「発見」を
@AICJ中学・高校(広島県)

遠藤 正寛

商学部教授 埼玉県出身/埼玉県立大宮高等学校

 遠藤正寛教授は2023年11月13日、広島市安佐南区のAICJ中学・高校で、「国際・域際貿易と地域経済」と題して、中学3年~高校3年の約400人に講義した。


 遠藤教授は「高校は事象を知り、人類の知的資産を学ぶ場。大学や大学院は論理や因果関係を学び、知的資産をつくる場です」と語りかけ、経済学を題材に高校から大学までの学びのつながりを具体的に話した。


 高校の「政治・経済」の教科書に載っている、外国との取引内容や規模などを示す「国際収支表」を取り上げて「経常収支」や「資本移転等収支」「金融収支」などの項目について解説。次いで、「貸方」と「借方」に同額が記載されるなどの収支表の作成方法を説明した後、「各項目とその意味を学ぶのが高校で、収支表の作成方法や項目間の意味を学ぶのが大学です」と説いた。


 遠藤教授は「貿易赤字」を例に、「富の流出である」という誤った解釈が見られると指摘し、「富の流入です」と収支表をもとに解説した。


 また、国際収支表のフレームワーク(枠組み)を使い、中国からの輸入増が国内の雇用を減らすという1990年代後半の「輸入ショック」について広島地域を調べたところ、雇用はむしろ増加していたと報告。広島市や呉市の自動車、船舶関連産業で、原材料や部品を中国から輸入することで製品の国際的競争力を高めた結果ではないかと話した。遠藤教授は「高校での学習を基礎に、ぜひ大学で『発見』してください」と呼びかけた。


 講義の後、生徒から関税強化の是非や、ウクライナや、パレスチナ自治区ガザ地区での武力衝突が国際経済に与える影響など質問が相次いだ。高校2年のトウバル彩果さん(16)は「グローバルな視点を持つことと、因果関係などを主体的に考えていくことが大切なんだと思いました」と感想を話し、高校2年の河野孝太朗さん(17)は「話を聞いて、全てのことが密接に関わっているので全体像を見ることが必要なんだと思いました」と語った。

慶應義塾大学

1858年、福沢諭吉が江戸に開いた蘭学塾が始まり。「実学」の重要性を説いた福澤諭吉の志と理念を受け継ぎ、多くの卒業生が各界で活躍する。10学部の学生が東京都と神奈川県のキャンパスで学ぶ。商学部では、経営学、商業学、経済産業、会計学の4分野で幅広く勉強することができる。

●公式ウェブサイト https://www.keio.ac.jp/ja/