講義リポート

慶應義塾大学

地震学を知り、避難のあり方考えよう
@香川県立高松商業高校

大木 聖子

環境情報学部 准教授 東京都出身/頌栄女子学院高等学校

 2024年2月7日、高松市の香川県立高松商業高校で、大木聖子准教授が「災害科学入門 地球との対話と社会との対話」と題して、英語実務科の1、2年生計72人に講義した。


 大木准教授は、高校1年の時に阪神大震災が起こり、「お母さん!」とパジャマ姿で叫ぶ同じ年頃の女性をテレビで見て、「地震学者になろう」と決めたという。読んだことがあった地震に関する本の著者がいた北海道大への進学を目指したと、進学やキャリア選択のきっかけを語った。


 講義では、日本列島で1日に500~1000回の地震が起こっていることなどをクイズ形式で紹介した後、「地球の内部を見ることはできません。どうやって地球の内部を調べるのでしょう」と、実験を始めた。


 水とビールが入ったビーカーと、空のビーカーの三つを段ボールで隠し、棒でただいて音を鳴らす。「どれがビール入りでしょう」と質問した後、生徒が見えるように置いた別のビーカーにビールや水を入れてたたいて音を聞かせた。


 「低い音がビールのビーカーだと分かったでしょう。これが観測です。では、なぜ音が違うのか。発泡が障害物となって低い音だけが残るからです。これが分かるようになるのが理論です」と話し、「地震波の声を聞き、火山の噴火などで出てきた岩石を見ることで地球の内部が見えてきました」と説明。地球内部のマントル対流の影響で、プレートが動いて列島にぶつかって時折地震が起きると解説し、「地震を止めることはできません」と強調した。


 また、これまでの震災時の学校内の様子を紹介。クラスの半数が腰が抜けて動けなかったことや、避難途中に失神したり、余震で過呼吸になったりすることがあったという。大木准教授は「大地震では余震が100%来ます。余震にも備えることが必要です」と話し、「これまで震災で倒壊した校舎はゼロ。校庭に避難するか、校舎にとどまるかを事前に想定しておく必要があります」と指摘した。


 この後、埼玉県川越市の小学校と東京都中央区の中学校の避難訓練の動画を見た後、グループに分かれて「訓練のあるべき姿」について話し合った。講義の後、1年生の後藤姫乃さん(16)は「実験もあって地震のことが理解しやすかった。避難訓練の動画も参考になった。能登半島の地震もあったので、事前に考えておいて行動することが大切だと思った」と語った。2年生のキーリー羽菜さん(16)は「日本語が十分に分からない外国の人もいる。避難場所などをどう伝えるのかも考える必要があると感じました」と話していた。

慶應義塾大学

1858年、福沢諭吉が江戸に開いた蘭学塾が始まり。「実学」の重要性を説いた福澤諭吉の志と理念を受け継ぎ、多くの卒業生が各界で活躍する。環境情報学部は「創造する力」の育成を目的とし、学生は、神奈川県の湘南藤沢キャンパス(SFC)で幅広い学問分野を横断して学ぶことができる。

●公式ウェブサイト https://www.keio.ac.jp/ja/

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大木 聖子

環境情報学部 准教授 東京都出身/頌栄女子学院高等学校

 2024年2月7日、高松市の香川県立高松商業高校で、大木聖子准教授が「災害科学入門 地球との対話と社会との対話」と題して、英語実務科の1、2年生計72人に講義した。


 大木准教授は、高校1年の時に阪神大震災が起こり、「お母さん!」とパジャマ姿で叫ぶ同じ年頃の女性をテレビで見て、「地震学者になろう」と決めたという。読んだことがあった地震に関する本の著者がいた北海道大への進学を目指したと、進学やキャリア選択のきっかけを語った。


 講義では、日本列島で1日に500~1000回の地震が起こっていることなどをクイズ形式で紹介した後、「地球の内部を見ることはできません。どうやって地球の内部を調べるのでしょう」と、実験を始めた。


 水とビールが入ったビーカーと、空のビーカーの三つを段ボールで隠し、棒でただいて音を鳴らす。「どれがビール入りでしょう」と質問した後、生徒が見えるように置いた別のビーカーにビールや水を入れてたたいて音を聞かせた。


 「低い音がビールのビーカーだと分かったでしょう。これが観測です。では、なぜ音が違うのか。発泡が障害物となって低い音だけが残るからです。これが分かるようになるのが理論です」と話し、「地震波の声を聞き、火山の噴火などで出てきた岩石を見ることで地球の内部が見えてきました」と説明。地球内部のマントル対流の影響で、プレートが動いて列島にぶつかって時折地震が起きると解説し、「地震を止めることはできません」と強調した。


 また、これまでの震災時の学校内の様子を紹介。クラスの半数が腰が抜けて動けなかったことや、避難途中に失神したり、余震で過呼吸になったりすることがあったという。大木准教授は「大地震では余震が100%来ます。余震にも備えることが必要です」と話し、「これまで震災で倒壊した校舎はゼロ。校庭に避難するか、校舎にとどまるかを事前に想定しておく必要があります」と指摘した。


 この後、埼玉県川越市の小学校と東京都中央区の中学校の避難訓練の動画を見た後、グループに分かれて「訓練のあるべき姿」について話し合った。講義の後、1年生の後藤姫乃さん(16)は「実験もあって地震のことが理解しやすかった。避難訓練の動画も参考になった。能登半島の地震もあったので、事前に考えておいて行動することが大切だと思った」と語った。2年生のキーリー羽菜さん(16)は「日本語が十分に分からない外国の人もいる。避難場所などをどう伝えるのかも考える必要があると感じました」と話していた。

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1858年、福沢諭吉が江戸に開いた蘭学塾が始まり。「実学」の重要性を説いた福澤諭吉の志と理念を受け継ぎ、多くの卒業生が各界で活躍する。環境情報学部は「創造する力」の育成を目的とし、学生は、神奈川県の湘南藤沢キャンパス(SFC)で幅広い学問分野を横断して学ぶことができる。

●公式ウェブサイト https://www.keio.ac.jp/ja/