講義リポート

東京大学

自分の頭で批判的に考える力を
@和歌山信愛高校

川越 至桜

生産技術研究所准教授 神奈川県出身/神奈川県立湘南高等学校

 川越至桜准教授は2023年11月1日、和歌山市の和歌山信愛高校で、「星の終わりの姿から未来社会をソウゾウしよう」をテーマに1年生200人に講義した。


 川越准教授は宇宙物理学の専門を背景に、教育用インターフェースの開発などに取り組んでいる。授業では、太陽の10倍以上の重さを持つ星が、寿命が尽きて大爆発を起こす超新星爆発について解説。大爆発でまき散らされた星くずが、また次の新たな星ができる材料となり、私たちの体をつくっているすべての成分に元素レベルでつながっていることを紹介した。


 この大爆発がいつ起きたのかを知るきっかけになったのが、平安から鎌倉時代に活躍した歌人、藤原定家の日記「明月記」だ。ある時期以降に、明るい星が見られるようになったという記述があったことを紹介。このことが知られた1900年代から研究が進み、爆発は1054年に起きたことがわかったことを解説した。さらに、爆発時に大量に放出される素粒子のニュートリノを検出することで、超新星爆発を観測できることも紹介した。


 また、ニュートリノは太陽から1平方㎝あたり数百億個飛んできていて、私たちの体を痛みも感じさせず突き抜け、建物や地球も貫いて宇宙空間に出ていっていることも伝えた。


 川越准教授は「超新星爆発の中から出てきたもので太陽や太陽系が生まれ、地球では生命が誕生し、人間が生まれた。こうして超新星爆発を調べることは、私たちの遠いルーツを元素レベルで調べることにつながると思っています」と語った。


 さらに「こうした基礎研究は、人類の裾野を広げ、応用研究の基礎になる」と強調し、「色々な分野に目を向け、自分で考え、新しいものを作り上げていくことを意識してください。イマジネーションとクリエーションを併せ持ったソウゾウを」と語った。


 受講した松山絵里香さんは「宇宙と私たちがつながっていることは普段はあまり意識していなかったので、今回の話をきいて宇宙が身近に感じられるようになりました」と話した。

東京大学

1877年に創設された、日本最初の大学。幅広い分野を学べる10の学部を持ち、主なキャンパスは、本郷地区、駒場地区、柏地区の3つ。2024年、「世界に開かれた大学」のシンボルとして「UTokyo」を大きく示す新しいロゴマークを制定した。生産技術研究所は、駒場地区にある工学を中心とする研究所で、国内外から1000人以上の研究者が集まっている。

●公式ウェブサイト https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html

東京大学

自分の頭で批判的に考える力を
@和歌山信愛高校

川越 至桜

生産技術研究所准教授 神奈川県出身/神奈川県立湘南高等学校

 川越至桜准教授は2023年11月1日、和歌山市の和歌山信愛高校で、「星の終わりの姿から未来社会をソウゾウしよう」をテーマに1年生200人に講義した。


 川越准教授は宇宙物理学の専門を背景に、教育用インターフェースの開発などに取り組んでいる。授業では、太陽の10倍以上の重さを持つ星が、寿命が尽きて大爆発を起こす超新星爆発について解説。大爆発でまき散らされた星くずが、また次の新たな星ができる材料となり、私たちの体をつくっているすべての成分に元素レベルでつながっていることを紹介した。


 この大爆発がいつ起きたのかを知るきっかけになったのが、平安から鎌倉時代に活躍した歌人、藤原定家の日記「明月記」だ。ある時期以降に、明るい星が見られるようになったという記述があったことを紹介。このことが知られた1900年代から研究が進み、爆発は1054年に起きたことがわかったことを解説した。さらに、爆発時に大量に放出される素粒子のニュートリノを検出することで、超新星爆発を観測できることも紹介した。


 また、ニュートリノは太陽から1平方㎝あたり数百億個飛んできていて、私たちの体を痛みも感じさせず突き抜け、建物や地球も貫いて宇宙空間に出ていっていることも伝えた。


 川越准教授は「超新星爆発の中から出てきたもので太陽や太陽系が生まれ、地球では生命が誕生し、人間が生まれた。こうして超新星爆発を調べることは、私たちの遠いルーツを元素レベルで調べることにつながると思っています」と語った。


 さらに「こうした基礎研究は、人類の裾野を広げ、応用研究の基礎になる」と強調し、「色々な分野に目を向け、自分で考え、新しいものを作り上げていくことを意識してください。イマジネーションとクリエーションを併せ持ったソウゾウを」と語った。


 受講した松山絵里香さんは「宇宙と私たちがつながっていることは普段はあまり意識していなかったので、今回の話をきいて宇宙が身近に感じられるようになりました」と話した。

東京大学

1877年に創設された、日本最初の大学。幅広い分野を学べる10の学部を持ち、主なキャンパスは、本郷地区、駒場地区、柏地区の3つ。2024年、「世界に開かれた大学」のシンボルとして「UTokyo」を大きく示す新しいロゴマークを制定した。生産技術研究所は、駒場地区にある工学を中心とする研究所で、国内外から1000人以上の研究者が集まっている。

●公式ウェブサイト https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html