1分間という限られた時間内に少しでも多くの文字を覚える訓練を繰り返すことで記憶力を鍛える「+1分」トレーニングができるノートです。東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授監修。
「+1分」のトレーニングで脳を鍛えましょう
- ①天声人語を切り抜いて貼ったら、1分間で1文字でも多く記憶します。
- ②貼った天声人語を見ないで書き写しスタート。冒頭から続けて正しく書けた「記憶文字数」を数えましょう。カギかっこや「、」「。」、段落分けの記号の▼なども1文字として数えます。途中で間違っていたら、残念ですが数えるのはその前の文字までです。
- ③記憶文字数を記録し、記憶レベルをチェックします。巻末にある記録表にもつけましょう。記録が終わったら、間違った部分は直し、天声人語の残りを最後まで書き写します。
川島隆太・東北大教授に聞くゲーム感覚で集中力・暗記力養う
脳トレ版は、天声人語の書き写しに、1分間でできるだけたくさんの文字を記憶して書く作業を遊び感覚で加えています。脳の働きを著しく高める効果が期待できる内容になっています。
脳の計測で、文章を手で書く時と、パソコンで書く時を比べると、前頭葉は手書きの時にしか活性化しない。書き写すだけでも、脳は鍛えられますが、もっと鍛えたいなら「一度にたくさん覚えて書く」という負荷を脳にかけることです。
脳トレ版には、1分間で覚えた内容を何文字まで正確に再現できたか「記憶文字数」を記録するページがあります。年代に応じて「頑張れば到達できる値」の目安を示したのが「目標値」。同年代の人が、どれくらいできているかを知りたい人は「平均値」を参考にするといいでしょう。
日によって天声人語の中身も違いますし、ばらつきは出ます。体調の影響もあるでしょう。日々の記録の上下に一喜一憂するのではなく、1~2週間の全体の傾向で判断することです。
目標値よりかなり低くても、自分よりずっと高い水準の人がいると思えば、モチベーションにもなりますよね。頑張れば、そこまで伸びる可能性があるということですから。でも、比べるなら他人ではなく「過去の自分」。過去の自分よりたくさん覚えられるようになったことを、楽しんではどうでしょうか。
記録はなかなか伸びないかもしれません。でも、脳機能は、統計的には20歳ぐらいがピーク。年と共に低下するのは仕方がありません。何もしなければ年と共に衰えていくのですから、考えようによっては同じレベルを維持できていることはすごいことです。
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東北大加齢医学研究所教授。脳科学者。認知症高齢者の脳機能の回復や子どもの脳機能の発達のため、ゲームソフト「脳トレ」の監修などにも研究成果を活用している
1分集中、暗記力アップ
啓明学園(東京都昭島市)
教室にペンを走らせる音が響く。東京都昭島市の私立啓明学園では、高校2年生が週1回、朝のホームルームで天声人語の書き写しをしている。1分間集中して文章を記憶し、何文字正確に書けるかを記録する。約10分間で書ききれなかった分は自宅で書いてくる。
使っているのは、天声人語ノートの「脳トレ版」。2年前に学年主任だった長廻裕実(ながさこひろみ)教諭が「記憶力は受験でも役立つ。集中力がつき、ゲーム感覚で興味を持ちやすそう」と選んだ。
最初は多くの生徒が十数文字覚えるのがやっとだった。1年間続けた現在の3年生約100人の最高記憶文字数の平均は約63文字。100字を超えた生徒も6人いた。生徒たちへのアンケートでは、「英単語など暗記が楽になった」「ほかの学習でも覚えるペースが速くなった」といった感想があった。「漢字や言葉を覚え、語彙(ごい)力がついた」「社会について知ることができた」という声も多い。
今春卒業した生徒たちを担任した伊藤克己教諭は、文章力の向上を実感したという。「大学の志望理由も、最初からきちんと書けていた。書き写しの効果だと思います」
学校には帰国子女も多く、3年の黒川あきこさんはインドネシア育ち。和英辞典で言葉を調べ、天声人語の切り抜きの間に英単語を書き込んでいる。「調べたら、どんどんわかるようになって楽しくなった。ちゃんと読んだら世の中のことがわかるようになった」と話す。
(2015年4月21日 朝日新聞掲載)
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